画像検査どこまで知ってる?特徴を大まかに整理!
リハビリテーションにおいて、画像検査は診断に必要不可欠なものです。
しかし自信を持って
画像検査得意です!
と言える療法士や医療従事者は少ないと思います。
そこで大まかに画像検査について、特徴を整理し、少しでもイメージを作りましょう。
なんとなく特徴が分かってるだけでも、
医師への提案や病棟でのディスカッションの役に立つはずです。
それぞれの画像検査の
①見るポイント
②メリット
③デメリット
で考えていこうと思います。
また、今回は運動器リハビリテーションを軸に考えていきますので、主に整形外科的な観点で述べていきますのでご了承下さい。
画像検査の種類
いきなりですが、画像検査の種類を挙げておきます。
以下の項目の特徴を軽く抑えるだけで、画像検査を少し語れるようになります!
- 単純X線撮影(レントゲン)
- MRI
- CT
- 造影検査
- 超音波検査
- 核医学検査
MRIとかCTは何となく…
核医学ってなんだろう…
なんとなく聞いたことはありますよね!
でも説明しろと言われるとなかなか難しいものです。
でも大丈夫!
実際に検査をするのは医師や放射線技師ですので、僕らはそれが何を検査しているのかだけ分かればいいんです。
それぞれの特徴を軽く貼っておきます。
わかるところは飛ばして、分からないところだけ読むのもアリです。
都合の良いように使っちゃってください。
①見るポイント
→骨の形、骨と骨の位置関係、左右差
②メリット
→姿勢や撮影方法が自由、簡単に撮れる
③デメリット
→被曝する、骨のみの観察、詳細は分かりにくい
①見るポイント
→水分量を見ている、T2で水は白く写る
②メリット
→ 細かい骨の損傷がわかる、被曝しない
③デメリット
→長時間の安静、騒音、閉所
①見るポイント
→骨は白く写り、空気は黒く写る。
②メリット
→立体的なイメージ像
③デメリット
→被曝量が多い、金属NG
①見るポイント
→超音波の反射で評価
②メリット
→靭帯損傷や筋挫傷に強い、簡易的
③デメリット
→体の奥の方は評価しにくい
①見るポイント
→細胞の動きを見ている
②メリット
→ 細胞に異常がある疾患に強い
③デメリット
→時間がかかる、形態評価はできない
各論に向かうその前に、基本的な知識の確認をします。
画像所見ではどこから見ているのかというのが重要になります
大まかに
・矢状面(sagittal):体を左右に分ける面で、真横から撮影。
・冠状面(coronal):体を前後に分ける面で、正面から撮影。
・横断面(transverse、axial):体を上下に分ける面で、体の軸に対して直角に輪切りをして、床から撮影。
以上になります。
まぁどこの面をどこから見ているかという話ですね。
写真だとこんな感じです。
それでは各論に移りましょう。
単純X線撮影(レントゲン)
単純X線撮影(レントゲン)は、整形外科における画像診断の基本であり、ほとんどの症例において施行される検査です。
CTやMRIは大きな病院に行かないとないけど、レントゲン撮影はできるという病院は多いです。
街の小さな歯医者などでもレントゲンだけは検査できたりします。
撮影に関して、基本的に2方向以上から撮影することが原則となります。
1方向からの画像では立体像がつかみにくく、正面像のみで異常所見や側面像のみで異常発覚するケースは少なくありません。
見るポイント
まずは骨・関節の輪郭、つまり皮質骨の連続性が保たれているかを観察します。
骨があるべき位置にあり解剖学通りの形をしているかということですかね。
次に骨・関節配列、関節裂隙の縮小・拡大、関節内の石灰化や異所性骨化の有無を評価します。
つまり骨と骨の位置関係を見るということです。
最後に、左右と対比することが重要です。とくに小児や学生では、骨化核、成長軟骨板の異常所見は比較しないとわからないことがあります。
メリット
動態(ストレス)撮影、荷重条件下撮影、経時的変化の観察ができることです。
何となく分かりますかね?
つまり、姿勢が比較的自由で、撮影スタイルも自由ってことになります。
歩いているときは痛いけど、普通にしていれば痛くないというような方は、歩いている時の姿勢に出来るだけ近づけたいですよね?
まぁそういう時にレントゲンが撮れるっていうことです。
自由に撮れるし比較的簡単に撮れるというのがメリットということになります。
デメリット
放射線被曝があること、骨のみの観察しかできず、脊髄や靭帯、軟部組織などの状態が評価しにくいことです。
放射線被曝に関しては、成人はさほど気にする必要はありませんが、妊婦や小児だとリスクがありますので注意が必要です。
レントゲンに関しては本当に大まかな検査になりますので、詳細な検査となるとあとのCTやMRIに軍配が上がってしまいます。
①見るポイント
→骨の形、骨と骨の位置関係、左右差
②メリット
→姿勢や撮影方法が自由、簡単に撮れる
③デメリット
→被曝する、骨のみの観察、詳細は分かりにくい
MRI
次にMRIです。
何となく
磁石や金属は持ち込んじゃいけないんだよなぁ
ってイメージありますかね?
そこまで分かっていれば大丈夫!
あと一歩踏み込めればかなり理解できます。
見るポイント
MRIは核磁気共鳴を利用して、生体内に水、あるいは脂肪として存在する水素原子(プロトン)を画像化する方法です。
つまり、磁石の力で水分が多いか少ないかを、画像の信号変化(濃淡)として描出した画像ということになります。
そのためMRIとして出された画像は
水分が多いのか、少ないのかを見ている
と言えます。
余談ですが、画像の濃淡に関しては設定で変えることができますので、あくまで周りとの比較が大切になります。
「真っ黒だと水が多い!」
とは一概にも言えませんので注意しましょう。
ちなみに水分の多いところは関節液、脳脊髄液になります。
逆に水分の少ないところは骨や靭帯などの硬い組織となります。
またMRIに関しては設定によって黒く写るか白く写るかは変わります。
以下の表をご覧ください
放射線を専門的に扱っていない医療従事者であれば
「T2で水は白く写る」
と覚えるだけで良いかと思います。
メリット
脊椎・脊髄疾患や骨腫瘍、骨髄炎、骨壊死、軟骨や靭帯損傷などの軟部組織病変を描出する能力に優れており、放射線被曝がありません。
磁石を使った撮影ですので、放射線被曝がNGの方でも使用できます。
またレントゲンではわからなかった細かい骨の損傷なども細かく写し出してくれます。
デメリット
撮影時間が長く、騒音のなか、閉所での長時間の安静を強いられます。小児や閉所恐怖症の人、 認知症の患者、安静を保つことができない人にはなかなか難しい検査になります。
丸い筒のようなものに入っていきますので、円背のおばあちゃんなども難しいことがあります。
①見るポイント
→水分量を見ている、T2で水は白く写る
②メリット
→ 細かい骨の損傷がわかる、被曝しない
③デメリット
→長時間の安静、騒音、閉所
CT
続いてCTに参ります
特にCTとMRIに関しては臨床でよく使用しますので、整理できるといいですね。
見るポイント
コンピュータ断層画像(CT)は、あらゆる方向からX線を照射して、人体のX線吸収値(CT 値)を測定します。
単純X線撮影(レントゲン)とは違ってあらゆる方向から照射するというのがポイントですね。
その情報を処理して再構成を行い、断層像を写し出します。
具体的には、組織によってCT値が異なり、その吸収量によって白黒の濃淡が分かれます。
部位別の吸収量(色の違い)はこちらになります。
骨は白く写り、空気は黒く写ります。
メリット
骨の描出に優れ、複雑な骨折や脊椎、骨盤の描出に有利です。
3D再構成することで、MRIでは描出できない骨病変を立体的にとらえることができます。
立体的に骨病変をイメージすることで、手術やリハビリの大きな判断材料になります。
さらに、造影CTでは動静脈血管や筋肉、腹部臓器までも描出することができます。
CTと造影CTはこんな感じです。
造影CTはほんとにすごいです…
デメリット
単純X線撮影に比較すると、放射線被曝量が格段に大きくなります。
あらゆる角度からX線を当ててるので当然ですね。
また、金属が体内にあると、 アーチファクトと呼ばれるノイズによって正しく描出されにくくなります。
①見るポイント
→骨は白く写り、空気は黒く写る。
②メリット
→立体的なイメージ像
③デメリット
→被曝量が多い、金属NG
造影検査
続いては造影検査になります。
見るポイント
X線撮影では描出できない関節腔、脊髄腔、椎間板などに適切な造影剤を注入してX線撮影を行う方法です。
MRIなどのほかの画像技術の進歩から、近年では行われるケースが減少しています。
循環器などではよく用いられますが、整形外科ではあまり用いられることは少ないかもしれません。
メリット
評価しにくい閉鎖空間内の構造、破綻を確認できるうえに、造影剤の流れを追うことで動態撮影も追加できる。
デメリット
造影剤は過敏症がある人、甲状腺疾患、 重篤な心疾患、肝腎機能障害がある人、気管支喘 息がある人などは、禁忌もしくは原則禁忌なので、必ず事前に確認が必要です。
①見るポイント
→造影材を使用する
②メリット
→閉鎖空間内の評価や動態撮影が可能
③デメリット
→禁忌が多い
超音波検査
続きまして超音波検査になります。
見るポイント
超音波検査は超音波を対象物に当てて、その反射を映像にして内部を評価するものです。
骨などの体の深い場所にあるものは感知できませんが、靭帯や血管などを観察することができます。
他の検査より簡易的に使用することができるため、医師だけではなく理学療法士や柔道整復師も使用することもあります。
メリット
X線所見では発見しづらい肋骨骨折の診断、靭帯損傷や筋挫傷などの診断に有用となります。
超音波検査を用いることで手術室だけでなく、 外来や救急の場で伝達麻酔やブロックを行うことが可能となる
診断が難しい滑膜炎を観察することで、関節リウマチの診断となりうる。
デメリット
体表から離れている構造物や、骨に囲まれた内部の観察はできないことです。
①見るポイント
→超音波の反射で評価
②メリット
→靭帯損傷や筋挫傷に強い、簡易的
③デメリット
→体の奥の方は評価しにくい
核医学検査
最後に核医学検査について説明します。
一番イメージがつきにくいかもしれません。
見るポイント
CTやMRIなどのような形態的評価ではなく、 細胞の活動性を反映する機能的な画像診断です。
今までは形を見ることが多くありましたが、核医学検査に関しては細胞の動きを見ているということになります。
整形外科領域では、放射線同位体シンチグラフィー(骨シンチ)、陽電子放出断層撮影(PET)がよく用いられます。
まぁここら辺はなんとなく
骨シンチ、PETと言われたら核医学検査なんだなぁ
と思うくらいで良いと思います。
放射性同位体やブドウ糖類似体を体内に投与することで、体内の異常に活動性が高い細胞に取り込ませます。その取り込まれた部位のみが信号変化として表れます。
ちょっと怖いですね笑
メリット
おもに腫瘍性病変(とくに骨転移)、骨髄炎、骨頭壊死、化膿性脊椎炎など細胞に異常をきたすような疾患によく用いられます。
近年ではCTと同時に撮影することで、形態学的な情報とともに評価できるようになり、有用性が向上しています。
デメリット
目的の臓器に、放射性同位体やブドウ糖類似体が届くのを待つ必要があるため、時間がかかってしまいます。
また、機能の評価を行うのみであり、形態の評価は別で行う必要があります。
核医学という名前のため、放射線の被曝量が多いのではないかと思ってしまいますよね。
しかし、被曝量はあまり多くないようで、副作用の報告もかなり少数のようです。
①見るポイント
→細胞の動きを見ている
②メリット
→ 細胞に異常がある疾患に強い
③デメリット
→時間がかかる、形態評価はできない
ぜひ臨床などに活用してみてください
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参考文献
寺川雅基(2018):総論 画像検査のきほん知識, 整形外科看護,vol.23,no.1