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【腰痛対策】腰椎を解剖学的に理解する

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今回は腰痛について、解剖学的な視点からまとめていきたいと思います。

腰痛が日本で最も多い愁訴であるということはもう耳にタコができるほど言われていると思います。

腰痛を主訴とする整形外科の代表的疾患が、
①脊柱管狭窄症
②椎間板ヘルニア

になります。

①脊柱管狭窄症は骨の変形などで脊柱管(神経の通り道)が狭くなり脊髄やそれに続く馬尾神経を圧迫することで症状がでます。

②椎間板ヘルニアは骨と骨の間にある椎間板(クッションみたいなもの)がはみ出したり、とびだしたりして神経を圧迫することで症状が出ます。

整形外科で扱うこの2つは必然的に術後のリハビリを行う頻度も多いと感じます。

この二つが影響する筋肉、神経、関節をメインにお話ししていきます。

臨床的なイメージから
①脊柱管狭窄症は高齢者に多く、間欠跛行が特徴的です。
②椎間板ヘルニアは若年者に多く、坐骨神経痛を合併しやすい特徴があります。

この2つの疾患では臨床所見だけでなく、画像所見も大事になってきます。

腰椎の解剖と機能を十分に理解しておくことで、これらの疾患を扱う糧となりますので、知識として持っておくことをオススメ致します。

 

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腰部の筋肉

 

腰部の筋肉って複雑だよね

 

私も学生の頃、筋肉を覚えたときはかなりしんどかったです…

 

筋肉の細かい知識は置いておいて、ざっくりと臨床で応用できそうな知識をまとめたいと思います。

大きく分けて2つ!
浅層と深層の筋肉があります。

 

浅層
  • 腸肋筋
  • 最長筋
  • 棘筋
深層
  • 多裂筋
  • 横突起間筋




この5つだけ覚えましょう!

ちなみに覚え方は
戦争で超最強が死体で嘔吐
これで覚えてください。

 

先生、意味がわかりません!

 

覚えればいいんです。
意味なんてありません!笑

 

 

戦争で:浅層
超:腸肋筋
最:最長筋
強が:棘筋
死:深層
体で:多裂筋
嘔吐:横突起間筋

こんな感じです。

浅層の3種類で脊柱起立筋群を形成し、脊柱を垂直に保持する役割を担っています。

また浅層の付着に関しては

腸肋筋=肋骨から腸骨に付く
最長筋=肋骨から腰椎棘突起と骨盤に付く
棘筋=胸椎棘突起から腰椎棘突起に付く


こんな感じになります。
写真も合わせてご覧ください。

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深層の多裂筋は腰椎の回旋を行い、
横突起間筋は腰椎の側屈を行います。

また深層の付着に関しては

多裂筋=横突起と3椎体上の棘突起に付く
横突起間筋は上下の横突起に付く


こんな感じになります。

 

神経の解剖

 


椎間板ヘルニアはL4/5(第4腰椎と第5腰椎の間という意味)とL5/S(第5腰椎と仙骨の間という意味)で頻発します。

腰部の神経は以下の写真のようになります。

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ご覧いただけるようにL4/5とL5/Sが頻発なのですが、どちらも同じ第5腰神経根を圧迫していることで生じているわけです。

ちなみに第5腰神経根は5番目の腰椎から横に出た神経ですね。

この場合、同じ神経を圧迫しているということになりますので、臨床症状は概ね同じになります。

 

面白いもんですね。笑


腰神経叢として重要なのは、主として L2-4 から構成される大腿神経と、主として L5-S2 から構成される坐骨神経になります。

太ももの前側(大腿神経)に痺れがあるか、太ももの後ろ側(坐骨神経)に痺れがあるのかが分かればバッチリです!

 

大腿神経の評価は大腿神経伸長テスト(FNSテスト)
坐骨神経の評価は下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)

 

を行うことで神経圧迫の有無を評価します。


FNSテストはこんな感じ

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SLRテストはこんな感じ

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意外と簡単ですよね?
どんどん参ります。

 

腰椎の解剖


最後は骨と関節についてです。

 

ここら辺も漢字が多くて大変ですよね…
最後少し頑張りましょう!


腰椎は

①椎体
②椎弓
③横突起
④棘突起
⑤上下関節突起

から構成されます。


写真で見るとこんな感じです

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まず丸い①椎体に②椎弓がくっついて、横に飛び出たものが③横突起、まっすぐ飛び出たものが④棘突起、上と下に飛び出たものが⑤上下関節突起

こんな感じで、覚えてください。
かなりシンプルですよね?

椎体はその名の通り、体重の大部分を支える機能があり、椎弓が文字通り半円を描くようにくっつくことで脊柱管とよばれる神経の通り道を形成します。

横突起や棘突起は前述した腰部の筋の付着部になります。

上下関節突起は上下で関節を形成して、上と下がしっかりハマるようになっています。

この上下関節突起は高齢になると変性し、肥厚して腰痛の原因となったり、狭窄症を生じたりします。

 

厄介なものです。

 

またいくつもの椎体を、

椎間板と靭帯が連結する役割を担っています。

椎間板はクッション靭帯はテープのような役割と思って頂いて良いと思います。

椎間板は

⑥髄核
⑦線維輪
⑧軟骨終板

から構成されています。


写真で見るとこんな感じです。

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椎間板はクッションの役割の⑥髄核とその周りにある⑦線維輪、さらには⑧軟骨終板からなります。

前述した通り、椎体には体重がかかりますのでクッションでしっかり衝撃を吸収す必要があるということです。

外傷あるいは加齢によって線維輪が断裂、変性を生じると内部の髄核が脱出して、ヘルニアを生じてしまうということです。

靱帯は主に

①前縦靱帯
②後縦靱帯
③黄色靱帯

から構成されています。


写真で見るとこんな感じ。

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椎体の前面を前縦靭帯、椎体の後面を後縦靭帯が安定させています。また前縦靭帯と後縦靭帯が椎体の動きを制限し、脊髄を圧迫しないように抑える役割もあります。
また黄色靭帯は椎弓と椎弓の間をつなぐ役割を果たし、より安定した脊柱を形成しています。

まとめ

 

・脊柱の筋肉は「戦争で超最強が死体で嘔吐」で覚える
・下肢の痺れは太ももの前側(大腿神経)にあるか、太ももの後ろ側(坐骨神経)にあるのかを確認する
・椎体で体重の大部分を支えて、椎間板はクッション、靭帯はテープのような役割を担う。

 

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参考文献
田中雅人(2006):図説 腰椎の解剖と機能, 整形外科看護,vol.11,no.7