【変形性膝関節症】簡単に痛みを整理
病院にいると変形性膝関節症の人たくさんいますよね?
もちろん人工関節の手術をしていれば、歩行の障害になりうる上に、診断の受けていない変形性膝関節症の人がめちゃめちゃいると思います。
整形外科チームのリハビリをしていると患者さんの半分以上が変形性膝関節症の方なんてことはザラにあります。
てなわけで本日はサクッと変形性膝関節症についてお話し致します。
理学療法士の方も、一般の方にも分かりやすく説明していきます。
膝関節の解剖生理
膝関節は大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨と、半月板、靭帯などから構成されます。
大腿骨=太ももの骨
脛骨+腓骨=すねとすねの横にある細い骨
膝蓋骨=膝のお皿
半月板=膝の中にあるクッション
靭帯=骨をつなぐテープ
こんな感じで覚えとくといいですね。
写真で見るとこんな感じです。
関節表面を覆う関節軟骨は、軟骨細胞と細胞外基質(おもに2 型コラーゲンとプロテオグリカン)で構成されています。
関節軟骨は骨と骨が直接ぶつかるのを防ぎ、膝関節にかかる衝撃を吸収し、関節の動きを滑らかにしています。
骨と骨だけでは固すぎるので、間にクッションをたくさん入れてますよって話ですね。
関節を包む関節包の内側には滑膜があり、潤滑油のはたらきをもつ「関節液」の分泌・吸収の役割があります。
また、関節液の主要成分の一つに「ヒアルロン酸」があります。
だからヒアルロン酸を注射したりするわけですね。
膝へのストレスによる痛み
歩く、立つ、座るといったさまざまな生活動作により、全体重を支えている膝には常に負担がかかっています。
長年使い続けるうちに徐々に変性が進んでいきます。
脚を組むことや体重の掛け方など、生活習慣や癖によっても負担がかなり変わってきます。
そう言ったちょっとした積み重ねで変形が生じてしまうというわけです。
変形性膝関節症は加齢に伴って、だれにでも起こり得ますが、なかでも女性、肥満、O脚の人は要注意となります。
女性は女性ホルモンや骨密度の関係で、肥満やO脚は膝へのストレスがかかる関係でリスクが高くなります。
膝の滑膜による痛み
変形性膝関節症では滑膜が原因で刺激されることで痛みが起こります。
大きく分けて2つ理由があります
①半月板の損傷
②関節軟骨の摩耗
下記で説明していきますね。
①が半月板の損傷で、加齢などにともない表面がけば立ち、裂けたりします。
少しでもキズがつくとなんとなく膝に違和感を感じたり、痛みが生じたりしてしまいます。
手術では全部取ってしまう人もいますが、部分切除したり、縫合(つなぎ合わせる)ことをして整えることもあります。
②が関節軟骨の摩耗です。半月板や関節軟骨が削られた細かいかけら(デブリ)が滑膜に吸収されると炎症が起こるため、これが痛みの原因となります。
整形外科のカンファレンスなどではよく「デブリ」という言葉を聞くので医療従事者の方は覚えておいて損ないかとおもいます。
ちなみにデブリードマン手術と言われたら、膝の関節の中の細かいかけらを掃除するんだなという認識で良いと思います。
軟骨や骨には神経が通っていないので、軟骨が削れたから痛いということではありません。炎症が起きることで痛みが出てくるのです。
そのため、細かいかけらがあっても手術をしない人はたくさんいます。
靴の中に石が入って、痛くて石を出す時と、家に帰るまで気づかない時があるのと一緒ですね。(笑)
初期の変形性膝関節症では関節軟骨や半月板のすり減りが少ないため、X線検査では骨と骨の間隔も保たれていて、ほぼ正常にみえます。
ですがこのように、変形によるストレス以外にも痛みを生じる可能性はあるので、覚えておいて損はないと思います。
まとめ
・膝関節は大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨と、半月板、靭帯などから構成される
・関節は骨と骨の間のクッションの役割をする
・女性、肥満、O脚の人は膝の変形リスクが高い
・膝の滑膜では①半月板の損傷②関節軟骨の摩耗で痛みが生じることがある
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参考文献
熊谷研(2020):前・初期 変形性膝関節症の病態 整形外科看護,vol.25 no.1 (29)