【今更聞けないSOAPでの記録】 明確に人に伝える方法
みなさんカルテを書く時SOAPって使ってますか?
カルテを書くような職種(医師、看護師、療法士、栄養士、SW、臨床検査技師、薬剤師などなど)の方々は、どこの病院でもSOAPを使っているような印象を受けます。
そもそもSOAPって学校で習いましたっけ?
(学校の先生すいません)
私はSOAPという名前はなんとなく知っているけど、内容に関しては記憶の彼方にあり、就職してから手取り足取りで教えていただきました。
SOAPとは以下の項目になります
- Subjective(主観的情報)
- Objective(客観的情報)
- Assessment(アセスメント、見立て)
- Plan(計画)
の4つのパートで構成されていて、それぞれの頭文字を取ってSOAPと呼ばれています。
患者の発言などに当たるのがS、客観的な情報を0、判断に当たるのがA、対応に当たるのがPです。
まぁなんとなくここまでは知っているかなと思います。
せっかくなので、各論をざっくり押さえて、どのようなことを書くべきかまたはどんな感じで書くかまで、理解していただけたら嬉しいです。
Subjective(主観的情報)
SOAPノートは利用者を中心に据えた記録の書き方です。決して医療者のためにある訳ではありません。
そのため、ここで言う主観は、書き手である支援者の主観ではなく、医療サービスを受けている患者の主観です。主訴はもちろん、本人が語った情報はSに入ります。本来なら本人から発した自発的な発言を聴取するのが望ましいですが、少し誘導や質問をした場合はその内容まで書けると良いです。
例えば
Dr.「痛いですか?」
患者「昨日より痛いです」
Dr.「どのように痛いですか?」
患者「雷が落ちるように、電撃が走るように痛いです」
こんな感じでしょうか
ポイントは出来る限り、本人の言葉をそのまま再現することです。
私は毎回忘れてしまうので、Sっぽい発言があったらすぐにメモを取るようにしてます。
カルテを書こうと思ったときにはだいたい忘れていますので。
Objective(客観的情報)
SOAPノートでいう客観は、患者にとっての客観です。医師やリハビリ職種の場合は、このOの部分に身体機能の所見からレントゲン所見、動作時の介助量、本人の様子、他の専門職や家族、地域などからの情報、サマリーなどで回ってくる事前情報までが 入ります。
家族からの相談の場合、Sに書きたくなってしまいますが、あくまでSは患者自身の主観ですので、Sではなく0に書いたほうが第三者にはわかりやすいです。仮に本人の認知機能が低下していて、家族からしか話が聞けなかったとしても、それはあくまで家族の言い分です。
家族と本人が真逆のことを言っていることがあるのはあるあるですね。
情報源が誰かということを整理する上でも、本人以外の発言はOにしておいた方が分かりやすいです。
検査値や評価など具体的に数値で表せるものは数値として記載し、介助量や歩行補助具などは具体的に記載してあげるとなお良いですね。
例えば
全体像:日付や場所の理解不良。会話の論理性あり。
Hb:10.5g/dL (2020/10/31)
筋力:MMT大臀筋右4/左3、大腿直筋右5/左4
起立:支持物なしでは起立不可。アームレストを押して起立可能。左腋窩から軽介助で実施。
こんな感じでしょうか?
出来るだけ事実を淡々と書いていくのがポイントで、Oでは私たち医療者の考えなどは入りませんのでご注意下さい。
Assessment(アセスメント、見立て)
AではOを元にした、私たちの考えが求められています。
やっと意見が述べられる…
医師がSOAPノートで記録する場合、 Aには診断名を書きますが、他の医療者は診断名というよりも現状の整理と今後の見立てという感覚が正しいかもしれません。
ここの欄に関しては医療者間ではかなり違う言葉や考えが述べられることになります。もっと言えば同じ職種でも考え方は全く違うし、日によって状況も変わります。
特に意識して考えたいのは、職種ごとに求められていることが違うということです。
つまり、
医師であれば医学的な所見、
看護師であれば病棟での過ごし方、
理学療法士であれば歩行距離、
栄養士であればどのくらい栄養の充足度
などです。
もちろん私たちも他職種のカルテを見るときに、そのポイントに期待してカルテを見る訳です。
これらを元に本人家族に働きかけたり、関係者と情報共有して作戦を練ったりすることになります。ここでは、しっかりと専門職としての「判断」を、ぜひ言語化して記録しましょう。
またカルテ記載とともに考えておきたいのは
USP(Unique Selling Proposition)
つまり「ほかにはない独自の強み」です。
Sellingって私たちは商品じゃないよ!
って思うかもしれませんが
私たちが言語化したその考えや見立ては医療サービスの一つですよね?
医療サービスを提供しているということは、私たちの技術(商品と捉えてもいい)を売っていることと同義であると私は考えます。
そのため、しっかりと専門性のあるカルテ記載を意識し、相手に伝わる文章で書く必要があります。
カルテ記載って苦手なんだよなぁ
って思う方もいるかもしれませんが
こんな話をしておきながらなんですが、私も苦手です。
医療職や接客業の方はコミュニケーション能力やリーダーシップなどに重点が置かれる傾向にあり、ライティングスキルやプレゼンテーションスキルなど、本来社会人として優先的に教育されるべきポイントが疎かになりがちです。
まぁ少し言い訳したかっただけかもしれません…
少し話がそれましたが
Assessmentは専門的な視点を医療サービスを提供する上でとても重要になりますが、意外と得意な方は少ないということです。
そこで簡単に出来るカルテ記載のポイントを3つだけ紹介します。
- 箇条書きを使う
- 優先順位をつける
- 目的を明確にする
以上となります。
少し意識するだけでグッと見やすいカルテになりますので参考にしてみてください。
例えば
訓練時、起立動作困難が著明に出現。
起立動作困難の理由としては以下の二つ
①左大臀筋の筋力低下
②後方重心
繰り返しの起立訓練で②は比較的改善したため、病棟のベットサイドでも概ね見守りレベルで実施可能の見立てである。頻回な起立動作で②はすぐに改善すると考えられる。
大臀筋の筋力トレーニングで①も1ヶ月程度で改善可能だろう。
ご自宅で使用している椅子の座面の高さが35cmであるため、現在の車椅子の高さよりも少し低めの椅子からの立ち上がり動作も必要になる。
こんな感じでしょうか。
箇条書きで問題点を整理しつつ、入院中に出来ることを提案。その流れで、早めに改善出来ることを示して、優先順位をつける。
また身体機能の改善の見込みを示して、自宅で必要なADLを明記して、さらっと目標を述べる。
毎度わかりにくくてすみません...
私は理学療法士なので、こんな感じの記載となりますが、ほかの医療職でも考え方としては
・箇条書きを使う
・優先順位をつける
・目的を明確にする
この三つで分かりやすい記載になると思いますので、ぜひ試してみてください。
Plan(計画)
医師の記録では、Pには処方箋や術式などが入り、
看護師は看護プラン、
理学療法士であれば治療計画などでしょうか。
Assessmentを元にPlanを作り、Planであげたことを実行すると、Sや0で挙げられていた問題が改善するという構造です。Aで明確にした判断に基づいて、どんな対応をしたか、また、これからしようと思っているかをPに記録します。 ここで重要なポイントとしては目標と手段を混同しないということです。
たとえば「退院する」というのはその後地域で生活するための手段にすぎません。しかし入院中の本人は退院することで頭がいっぱいで、退院することが目的のように思ってしまいがちです。
そんなときこそ医療従事者は、 少し引いた目線で全体を眺めて、もともと退院前にやるはずだったことで前倒しにできることはないか、入院中でもできる地域生活の準備はないか、本人が考えられるよう軌道修正しましょう。そうすることで、介入が場当たり的でなくなります。
ここに関しては日々変わるというものではなく、ある程度方向性が決まっていれば決まっているものを週単位で軌道修正していくという感じになりますね。
ベットサイドのレイアウト変更や車椅子のサイズ調整など、今日か明日やることがあるのであれば、出来るだけ具体的にここにかけるとよいですね。
例えば
自宅での立ち上がり自立に向けて、起立動作練習継続
明日、車椅子の高さを5cm下げる。
こんな感じでしょうか
もちろん職種によって書くことは変わりますが、間違っても
継続
みたいに何の考えもない表記は避けたいところです。
まとめ
・SOAPノートとは
Subjective(主観的情報)
Objective(客観的情報)
Assessment(アセスメント、見立て)
Plan(計画)の4項目
・カルテは職種によって求められることや書くことが異なる。
・カルテは出来る限りわかりやすく記載する必要がある
以上になります。
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