【肩こり対策】肩関節を解剖学的に理解する
みなさん。
肩こり対策していますか?
肩こり対策をする上で、肩関節周囲の解剖学を理解しておくことは非常に大切と考えます。
そこで肩関節の解剖学をざっくりと学んでいこうと思います。
肩関節の構造
肩関節は、鎖骨・肩甲骨・上腕骨の3つの骨で構成されてます。一般的には肩甲骨と上腕骨との関節と理解されますが、腕を挙げる際に動く部位を細かく分けると、
①鎖骨と肩甲骨の関節
②上腕骨と肩甲骨の関節
③肩甲骨と胸郭の関節
の3カ所が、それぞれバランスをとりながら動いています。
肩関節一つと言えど、少し複雑に関節が絡み合っているわけです。
関節面は垂直方向を向いており、軸方向では関節面が軽度前方を向いていることがわかります。
写真で見るとこんな感じですね。
大きな直径をもつ球状の上腕骨頭と、比較すると小さくて中央がややくぼんだような楕円の形状をもつ肩甲骨関節窩で構成されています。
野球のグローブにポケットが収まるようなイメージでしょうか。
思わず野球で例えてしまいました・・・
このように、骨構造であまり拘束されない肩関節は、関節を包む関節包・靭帯・腱によって安定性を保ちながら、自由に大きく動くという特徴があります。
そのため、複雑な動作が可能になっている反面、怪我もしやすくなっていると言うわけです。
腕を挙げたとき、可動域は2つの関節で分担しており、
②上腕骨と肩甲骨の関節と③肩甲骨と胸郭の関節がおよそ2:1の割合で動きます。
「肩甲上腕リズム」とも言います。
もう少し具体的に言えば、真横に手を上げたときは肩関節外転90°といい、90°の中で②上腕骨と肩甲骨の関節が作る角度が60°、③肩甲骨と胸郭の関節が作る角度が30°ということになります。
分かりにくくてすみません
写真で言えばこのような感じです。
ちなみに写真にもあるとおりで、肩を横に30°挙げたとき、つまり肩関節外転30°だと②上腕骨と肩甲骨の関節が作る角度のみが影響します。
そして、挙上角度が60°よりも上がると、肩甲骨の運動、つまり③肩甲骨と胸郭の関節が作る角度が大切になります。
骨粗しょう症による高齢者の脊椎の後方への弯曲(亀背とか円背とも言います)は、肩甲骨及び胸椎の動きが制限されて、腕が高く挙げられない原因になります。
筋肉・腱構造
肩周りの筋肉ってちょっと苦手…
まずは大まかに整理することが大事です。
一緒に見ていきましょう!
肩関節をもっとも外側から大きく包み、腕を動かす際の主導的な役割を担う筋肉として、大胸筋・三角筋・広背筋が挙げられます。いわゆる「アウターマッスル」ですね。
体の外側にあるから「アウターマッスル」と名付けられています。
一度は耳にしたことがあると思います。
大胸筋=胸の前
三角筋=肩全体
広背筋=肩甲骨の下
こんな感じでざっくりと覚えておけばいいと思います
写真で見るとこんな感じになります。
また、肩関節を内側から包み、腕を動かす際の細かな修正的な役割を担う筋肉として、棘下筋・棘上筋・肩甲下筋・小円筋が挙げられます。いわゆる「インナーマッスル」とか「ローテーターカフ」とよばれることもあります。
体の内側にあるので「インナーマッスル」と言います。
「ローテーターカフ」は日本語にすると「回旋筋腱板」となります。
腕を回したり複雑な動きができるから「ローテーターカフ」なんだなあという認識でいいと思います。
ローテーターカフを体の前から見るとこんな感じ
背中側から見るとこんな感じ
「インナーマッスル」に関してはまた後程少し触れようと思います。
肩関節を安定化させる機能
肩関節が安定することによって、腕はしなやかに強く動きます。
その役割として大事なものが2つ。
・関節包
・腱板
この2つになります。
関節包
肩関節を取り囲む組織として最も深層に位置する軟部組織が関節包です。
先程お話しした「インナーマッスル」よりも深いところにあります。
この関節包のなかに、靭帯といわれる肥厚して強い部位(関節包靭帯)や、薄くなり伸張性に富む部位(腱板疎部)などが存在して、それぞれが機能をもちます。
関節包に関しては「静的な安定構造」と理解しましょう。
肩関節が脱臼すると、この靭帯などの組織が肩甲骨関節窩縁に付着する近傍で断裂することが多く、バンカートBankart 病変(関節包関節唇複合体部損傷)とよばれます。
また、関節包に炎症が生じて線維化することで関節の可動域が失われると、凍結肩 (いわゆる五十肩)とよばれます。
ここら辺に関しては
関節包が傷つく
↓
炎症
↓
繊維化(固くなる)
↓
五十肩
この流れを知っていればバッチリです。
腱板
腱板は、先程の話の通り肩甲骨から起始する4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)が関節を包み込むように走行して、上腕骨の関節近傍に停止して関節を安定化させる作用をもちます。
役割としては、上腕骨を動かす機能もありますが、さらに大切な役割として、上腕骨頭を肩甲骨関節面に引き付けるように安定化させる機能があります。
腱板が上腕骨頭を取り囲み収縮することで、 肩関節の可動の中心が安定し、三角筋のような外側の大きな筋肉が力を発揮でき、その結果として腕が力強く動く、という流れになります。
腱板に関しては「動的な安定構造」と理解しましょう。
写真で言えばこんな感じになります。
a:三角筋の強い力(→)に対して棘上筋・肩甲下筋が上腕骨頭中心(●)を関節面上に保つように収縮しています。
b:前方の肩甲下筋と後方の棘下筋・小円筋がバランスよく収縮して、上腕骨頭を関節面上に保っています。
少し難しくなってしまいましたが、静的な安定構造(関節包)と動的な安定構造(腱板)で、肩を固定しつつ、しっかり動くことができるようにしていると捉えておけば良いと思います。
肩関節の神経
神経ってかなり難しそう…
そうですね。
確かに理解しにくい部分はあると思います。
難しい原因は漢字の多さにあると思われます。
大切なのは文字を覚えることではなく、
大まかなイメージを掴みつつ、神経障害(痺れなど)の評価
につなげることにあります。
全部は理解できなくても、イメージさえ分かればOKです!
それでは早速本題に入ります。
腕神経叢(腕の神経全体)は、首の部分の脊髄から出る第5頚神経〜第8頚神経と第1胸神経から形成されます。
これらの神経根が脊柱管を出て、鎖骨と第1肋骨の間を通り、腋窩(脇)の下に到達するまでの間に神経線維を複雑に入れ替えて、最終的に腕の外側に分布する腋窩神経と、肘より先の方へ行く正中・尺骨・橈骨・筋皮神経になります。
怪我をした時や手術した後に、これらの神経に障害が生じることがあります。その際に、皮膚感覚の低下やしびれ感を調べることで、神経障害の有無を確認します。
挫折しそう・・・
ここはまだ大丈夫!
調べる場所(固有知覚領域)は決まっていて、以下の通りになります。
a:正中神経=人差し指か中指
b:橈骨神経= 親指と人差し指の背側(手の甲側)
c:尺骨神経=小指の掌側
d:腋窩神経=腕の少し外側
e:筋皮神経=肘より少し先の膨らみ
これをしっかり覚えましょう
この位置を触って、しびれや違和感がなければ神経障害の可能性は低いといえるわけです。
まとめ
・腕を動かす際には、肩甲骨、鎖骨、胸椎がバランスよく連動している。
・ 肩関節の周囲は、運動の主導権を握る大胸筋、三角筋、広背筋に囲まれている。
・関節包と腱板は、関節を安定させる重要 な役割がある。
・神経障害の有無を観察するには、正中神 経、橈骨神経、尺骨神経、腋窩神経、筋皮神経の固有知覚領域を調べる。
少しわかりにくい部分があったかもしれませんが、わからないときは何回か見直しつつ教科書を見たり、写真を見たりして大まかなイメージを作るように心がけましょう。
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。
参考文献
田崎篤(2020): ポイントだけを総ざらい! 肩関節疾患とケアのまとめ 肩関節の解剖,整形外科看護,vol.25 no.6
竹井仁(2015):正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書, ナツメ社
【腰痛対策】腰椎を解剖学的に理解する
今回は腰痛について、
腰痛が日本で最も多い愁訴であるということはもう耳にタコができ
腰痛を主訴とする整形外科の代表的疾患が、
①脊柱管狭窄症
②椎間板ヘルニア
になります。
①脊柱管狭窄症は骨の変形などで脊柱管(神経の通り道)
②椎間板ヘルニアは骨と骨の間にある椎間板(
整形外科で扱うこの2つは必然的に術後のリハビリを行う頻度も多
この二つが影響する筋肉、神経、
臨床的なイメージから
①脊柱管狭窄症は高齢者に多く、間欠跛行が特徴的です。
②椎間板ヘルニアは若年者に多く、
この2つの疾患では臨床所見だけでなく、
腰椎の解剖と機能を十分に理解しておくことで、
腰部の筋肉
腰部の筋肉って複雑だよね
私も学生の頃、筋肉を覚えたときはかなりしんどかったです…
筋肉の細かい知識は置いておいて、
大きく分けて2つ!
浅層と深層の筋肉があります。
- 腸肋筋
- 最長筋
- 棘筋
- 多裂筋
- 横突起間筋
この5つだけ覚えましょう!
ちなみに覚え方は
「戦争で超最強が死体で嘔吐」
これで覚えてください。
先生、意味がわかりません!
覚えればいいんです。
意味なんてありません!笑
戦争で:浅層
超:腸肋筋
最:最長筋
強が:棘筋
死:深層
体で:多裂筋
嘔吐:横突起間筋
こんな感じです。
浅層の3種類で脊柱起立筋群を形成し、
また浅層の付着に関しては
腸肋筋=肋骨から腸骨に付く
最長筋=肋骨から腰椎棘突起と骨盤に付く
棘筋=胸椎棘突起から腰椎棘突起に付く
こんな感じになります。
写真も合わせてご覧ください。
深層の多裂筋は腰椎の回旋を行い、
横突起間筋は腰椎の側屈を行います。
また深層の付着に関しては
多裂筋=横突起と3椎体上の棘突起に付く
横突起間筋は上下の横突起に付く
こんな感じになります。
神経の解剖
椎間板ヘルニアはL4/5(第4腰椎と第5腰椎の間という意味)
腰部の神経は以下の写真のようになります。
ご覧いただけるようにL4/5とL5/Sが頻発なのですが、
ちなみに第5腰神経根は5番目の腰椎から横に出た神経ですね。
この場合、同じ神経を圧迫しているということになりますので、
面白いもんですね。笑
腰神経叢として重要なのは、主として L2-4 から構成される大腿神経と、主として L5-S2 から構成される坐骨神経になります。
太ももの前側(大腿神経)に痺れがあるか、太ももの後ろ側(
大腿神経の評価は大腿神経伸長テスト(FNSテスト)
坐骨神経の評価は下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)
を行うことで神経圧迫の有無を評価します。
FNSテストはこんな感じ
SLRテストはこんな感じ
意外と簡単ですよね?
どんどん参ります。
腰椎の解剖
最後は骨と関節についてです。
ここら辺も漢字が多くて大変ですよね…
最後少し頑張りましょう!
腰椎は
①椎体
②椎弓
③横突起
④棘突起
⑤上下関節突起
から構成されます。
写真で見るとこんな感じです
まず丸い①椎体に②椎弓がくっついて、横に飛び出たものが③
こんな感じで、覚えてください。
かなりシンプルですよね?
椎体はその名の通り、体重の大部分を支える機能があり、
横突起や棘突起は前述した腰部の筋の付着部になります。
上下関節突起は上下で関節を形成して、
この上下関節突起は高齢になると変性し、
厄介なものです。
またいくつもの椎体を、
椎間板と靭帯が連結する役割を担っています。
椎間板はクッション、
椎間板は
⑥髄核
⑦線維輪
⑧軟骨終板
から構成されています。
写真で見るとこんな感じです。
椎間板はクッションの役割の⑥髄核とその周りにある⑦線維輪、
前述した通り、
外傷あるいは加齢によって線維輪が断裂、
靱帯は主に
①前縦靱帯
②後縦靱帯
③黄色靱帯
から構成されています。
写真で見るとこんな感じ。
椎体の前面を前縦靭帯、
また黄色靭帯は椎弓と椎弓の間をつなぐ役割を果たし、
まとめ
・脊柱の筋肉は「戦争で超最強が死体で嘔吐」で覚える
・下肢の痺れは太ももの前側(大腿神経)にあるか、太ももの後ろ側(坐骨神経)にあるのかを確認する
・椎体で体重の大部分を支えて、椎間板はクッション、靭帯はテープのような役割を担う。
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。
参考文献
田中雅人(2006):図説 腰椎の解剖と機能, 整形外科看護,vol.11,no.7
【肩こりの病態】自律神経から考える
肩こりってなんなんでしょうね
病院に勤務していると肩こりで通院される方は非常に多いように思います。
実際に平成28年度厚生労働省国民生活基礎調査では病気や怪我の自覚症状の調査において、女性では第1位、男性では第2位となっています。
つまり、日本人の多くの方が肩こりに悩んでいるということになります。
ちなみに、男性の第1位は腰痛です。
器質的要因が明らかでない肩こり、つまり原因のわからない肩こりの誘発因子としては、長時間の持続的筋収縮(過緊張状態)が挙げられています。
パソコンで長時間作業をしたり、同じ作業を繰り返し行う事務作業などで肩こりが生じやすいということになります。
また、肩こりを訴える人は僧帽筋の筋硬度が充進することも知られています。
つまり、肩甲骨の上あたりがガチガチに固まってしまうということです。
そして、最近ではストレスとの関連も明らかになってきています。
たくさんありすぎて挙げればキリがありません
私は理学療法士ですので、筋肉のコリに関しては精通しているのですが、ストレスとなるとあまり知識がありませんでした。
しかし現代社会において、ストレスなしで肩こりを語る事は難しいと思い、色々な論文を読み漁りました。
ここで知識を共有するとともに、お困りの方が少しでも解決の糸口を見つけられれば、嬉しい限りです。
また、今回は自律神経にポイントを絞って考えていきたいと思います。
自律神経とは
では、自律神経ってなに?
と思われるかもしれませんね。
自律神経とは簡単に言えば
生命を維持する機能
と言えます。
具体的にあげるとすれば、心拍数や血圧、発汗、体温とかですかね。
自律神経に異常が生じると急に血圧が上がったり、異常に汗が出続けたりします。
もちろん逆に、血圧が下がったり、汗が出ないこともあります。
肩こりに長年悩んでいる方は、この自律神経に異常が生じている可能性が高いと言われています。
ずーっと肩に力が入ってしまっていて、体の調節が効かなくなってしまうような感じでしょうか。
さらに、筋肉の緊張が続くと、交感神経の興奮によって血管がきゅっと締まります。これにより肩周辺の血流量が減少し,虚血(血液不足)を生じ,低酸素状態に陥った筋からは,さらに様々な代謝産物が生成され,それらがまた知覚神経を刺激し脊髄の刺激となり、筋肉の緊張へと繋がります。
分かりにくくてすみません…
完全に悪循環が生じるということですね。
パソコン作業時の自律神経
パソコン作業をしている人は肩こりが生じやすいと言われています。
パソコン作業中は頭が少し前に出て僧帽筋がぐっと力が入った姿勢となってしまい、不良姿勢を呈しやすいということです。
このような不良姿勢か続くことで、肩こりになりやすいとも言えます。
また、パソコン作業時はずーっと同じ姿勢になってしまい、自律神経の反応が減弱してしまうようです。
運動時の自律神経応答
肩こりのある方はパソコン作業などでずーっと同じ姿勢になってしまうことがよくないとお話ししました。
それでは、体を動かした時はどうなんでしょうか?
肩こりのある方は、運動時の自律神経応答の減弱も示唆されています。
運動したときに筋への適切な量の血液が供給されないことで、筋の酸素消費量に見合った酸素が供給されない状況になります。それによって痛みを感じてしまう悪循環が生じてしまうそうです。
睡眠時の自律神経応答
どんどんいきます(笑)
肩こり有訴者では安静時かつ運動時に対する自律神経応答が減弱しているというのは分かりましたね。
では睡眠時はどうなんでしょうか?
自律神経はサーカディアンリズムとして日内変動しており、特に日中活動時と睡眠時ではその活動は大きく異なります。
サーカディアンリズムは簡単に言えば、朝起きて、夜眠るという自然なリズムのことですね。
日中活動時と安静時(睡眠時)の自律神経活動の変化を調べると、夜間睡眠中は肩こりの有無にかかわらず副交感神経活動優位の変化を示すものの、健常者との比較において肩こり有訴者では副交感神経活動の減弱と交感神経活動の充進を示すようです。
図がこちらですね。
肩こりのある方は、夜に眠りにくいということがわかります。
このような夜間の自律神経活動の変調が日中活動時の肩こり症状に影響しているかもしれませんね。
私の印象としても、肩こりのある方は
「睡眠障害と眼精疲労」
を併発する方が非常に多い印象です。
その辺もまた、調べて記事に出来れば嬉しいです。
肩こりとストレス
心理社会的ストレスは肩こりに影響しやすく、仕事のストレスを抱えている人ほど肩こりのある方が多い印象です。
心理的・身体的ストレスには、
視床下部ー交感神経一副腎髄質系(SAM system)
視床下部一下垂体一副腎皮質系(HPA axis)
の2つの応答系があります。
SAM system はCannonの「闘争か逃走」の緊急反応として知られています。
後ろから手を掴まれたときにすぐ払ってしまうような感じでしょうか。
その時は交感神経が優位で、SAM systemが働いてるんだと思います。
手を掴んだ相手が友達だと分かると、そのSAM systemも効かなくなるんでしょうかね。(笑)
少し細かく言えばSAM systemは,運動や痛みなどの身体的ストレスが加わることにより、交感神経が賦活し副腎髄質からカテコラミンが分泌されて、急性のストレス反応となるわけです。
HPA axisはSelyeの「外界からのあらゆる要求に対する非特異的なストレス反応」として定義されています。
みなさんはお化け屋敷好きですか?
僕は嫌いなんですけれども…
お化け屋敷に行った時ってすごく不安になるし、怖いですよね?
そのとき、めっちゃストレス感じてます。
また同じように少し細かく言えば、
HPA axisとは、恐怖・不安・痛みなどの心理的ストレスが加わることにより、視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを介して下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンが放出され、副腎皮質から糖質コルチコイドが分泌され、急性ストレス下でも慢性ストレス下でも誘導されます。
先生、頭がパンクしそうです。
緊急時のストレスとじわじわくるストレスの2種類があるという程度の認識でいいと思います。
肩こりのリハビリテーション
肩こりのリハビリテーションとしては、ストレッチや肩こり体操などの運動療法の他、物理療法や徒手療法が一般的に行われています。
しかし、
本当に運動って効果あるの?
って思ってしまうのも無理はありません。
肩こりは筋骨格系の問題のみでなく自律神経系やストレス応答の変調も関与している可能性があるので、運動とは関係ないのではないかと思ってしまいますよね。
しかし前述のとおり、運動による交感神経の刺激や肩甲骨周囲の血流量増加は少なからず肩こり解消のきっかけになりうると言えます。
肩こりに限らず、疾痛マネジメントに関するガイドラインにおいて、慢性痛モデル動物を用いた実験においても5日間の定期的な運動により痛覚過敏と自律神経機能異常の発生を予防しうる可能性が示されています。
そのことから、運動習慣の獲得は運動時の自律神経応答を改善し、肩こりのマネジメントとして有効であると結論付けられています。
そのため、肩こり対策としては、
まず運動やストレッチをしてみるということをオススメ致します。
いや運動なんてそんな簡単にできないよ。
とお思いの方はぜひこちらの記事をご覧ください。
僕も理学療法士としてではなく、生徒として(笑)参加しているオンラインヨガが気軽にできていいなと思います。
また医療従事者が肩こりの方を担当するときは、社会的なストレスやそれに対する適切なストレスコーピングが行えていない可能性もありますので、患者教育や姿勢制御など作業関連性疾痛の予防対処、ライフスタイルの管理など,認知行動療法を含めた心理社会的アプローチも必要になると思われます。
かなり包括的に考えていかないといけないということです。
ご自宅でできることとしては、枕の検討なんかが比較的しやすいかなと思います。
こちらの記事で肩こりに対する枕について、述べておりますのでぜひ参考にしてみてください。
まとめ
・肩こりに対する運動は効果的である。
・肩こりの治療においては筋骨格系のみを対象 とするのではなく、自律神経応答を含めた包括的なアプローチが必要である。
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。
引用文献
1)伊藤達雄:肩こりの診断のポイント.クリニシァン.44:495-498,1997.
2)国民生活基礎調査(平成25年)の結果から一グラフで見る世帯の状況一.
3)Sabharwal R:Exercise prevents development of autonomic dysregulation and hyperalgesia in a mouse model of chronic muscle pain. Pain.157(2);387-398,2016.
4) 城由起(2016):自律神経応答からみた肩こりの病態,MB Orthop,VoL29,No. 9
【変形性膝関節症】簡単に痛みを整理
病院にいると変形性膝関節症の人たくさんいますよね?
もちろん人工関節の手術をしていれば、歩行の障害になりうる上に、診断の受けていない変形性膝関節症の人がめちゃめちゃいると思います。
整形外科チームのリハビリをしていると患者さんの半分以上が変形性膝関節症の方なんてことはザラにあります。
てなわけで本日はサクッと変形性膝関節症についてお話し致します。
理学療法士の方も、一般の方にも分かりやすく説明していきます。
膝関節の解剖生理
膝関節は大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨と、半月板、靭帯などから構成されます。
大腿骨=太ももの骨
脛骨+腓骨=すねとすねの横にある細い骨
膝蓋骨=膝のお皿
半月板=膝の中にあるクッション
靭帯=骨をつなぐテープ
こんな感じで覚えとくといいですね。
写真で見るとこんな感じです。
関節表面を覆う関節軟骨は、軟骨細胞と細胞外基質(おもに2 型コラーゲンとプロテオグリカン)で構成されています。
関節軟骨は骨と骨が直接ぶつかるのを防ぎ、膝関節にかかる衝撃を吸収し、関節の動きを滑らかにしています。
骨と骨だけでは固すぎるので、間にクッションをたくさん入れてますよって話ですね。
関節を包む関節包の内側には滑膜があり、潤滑油のはたらきをもつ「関節液」の分泌・吸収の役割があります。
また、関節液の主要成分の一つに「ヒアルロン酸」があります。
だからヒアルロン酸を注射したりするわけですね。
膝へのストレスによる痛み
歩く、立つ、座るといったさまざまな生活動作により、全体重を支えている膝には常に負担がかかっています。
長年使い続けるうちに徐々に変性が進んでいきます。
脚を組むことや体重の掛け方など、生活習慣や癖によっても負担がかなり変わってきます。
そう言ったちょっとした積み重ねで変形が生じてしまうというわけです。
変形性膝関節症は加齢に伴って、だれにでも起こり得ますが、なかでも女性、肥満、O脚の人は要注意となります。
女性は女性ホルモンや骨密度の関係で、肥満やO脚は膝へのストレスがかかる関係でリスクが高くなります。
膝の滑膜による痛み
変形性膝関節症では滑膜が原因で刺激されることで痛みが起こります。
大きく分けて2つ理由があります
①半月板の損傷
②関節軟骨の摩耗
下記で説明していきますね。
①が半月板の損傷で、加齢などにともない表面がけば立ち、裂けたりします。
少しでもキズがつくとなんとなく膝に違和感を感じたり、痛みが生じたりしてしまいます。
手術では全部取ってしまう人もいますが、部分切除したり、縫合(つなぎ合わせる)ことをして整えることもあります。
②が関節軟骨の摩耗です。半月板や関節軟骨が削られた細かいかけら(デブリ)が滑膜に吸収されると炎症が起こるため、これが痛みの原因となります。
整形外科のカンファレンスなどではよく「デブリ」という言葉を聞くので医療従事者の方は覚えておいて損ないかとおもいます。
ちなみにデブリードマン手術と言われたら、膝の関節の中の細かいかけらを掃除するんだなという認識で良いと思います。
軟骨や骨には神経が通っていないので、軟骨が削れたから痛いということではありません。炎症が起きることで痛みが出てくるのです。
そのため、細かいかけらがあっても手術をしない人はたくさんいます。
靴の中に石が入って、痛くて石を出す時と、家に帰るまで気づかない時があるのと一緒ですね。(笑)
初期の変形性膝関節症では関節軟骨や半月板のすり減りが少ないため、X線検査では骨と骨の間隔も保たれていて、ほぼ正常にみえます。
ですがこのように、変形によるストレス以外にも痛みを生じる可能性はあるので、覚えておいて損はないと思います。
まとめ
・膝関節は大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨と、半月板、靭帯などから構成される
・関節は骨と骨の間のクッションの役割をする
・女性、肥満、O脚の人は膝の変形リスクが高い
・膝の滑膜では①半月板の損傷②関節軟骨の摩耗で痛みが生じることがある
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。
参考文献
熊谷研(2020):前・初期 変形性膝関節症の病態 整形外科看護,vol.25 no.1 (29)
【あなたの仕事は腰痛リスク高い?低い?】腰痛の疫学を整理
腰痛って困りますよね。
腰痛は最も一般的な愁訴であり、厚生労働省が公表する業務上疾病発生状況等調査(仕事でどんな病気になるか)では腰痛の件数が最も高い。
当たり前ですよね!
あなたの周りにも腰痛持ちはめちゃくちゃいますもんね。
特に女性は肩こり、男性は腰痛といったイメージがあります。
今回は仕事による腰痛をメインに、いろんな切り口から腰痛を見ていくことにします。
腰痛の生涯有病率
みなさん、腰痛の生涯有病率はどれくらいだと思いますか?
生涯有病率は文字通り、一生のうちに腰痛になる確率のことを言います。
なんと
男性82.4%,女性84.5%
8割を超えちゃってます。
あり得ますか??
野球で言えば、スタメンの9人のうち7-8人は腰痛があるってことになります。
ピッチャーとキャッチャー以外全員腰痛持ちとかがあり得ちゃうわけです。
笑うしかないですね笑
同じ研究チームの報告では、重症化した腰痛(ここでは仕事などの社会生活を連続4日以上休んだまたは3カ月以上続いた腰痛経験者を指します)は、3.9%であったというデータも出ています。
40人のクラスでは2人くらい腰痛でしばらく休んじゃうって感じですね。
そんなクラス嫌です。
また、腰痛治療に対し医療補償(労働災害あるいは自動車事故)を受けた経験者は、100 人に 1 人(1.1%)となっています。
もう怖いとしか言えないです。
別の研究で、直近1ヶ月に腰痛があるかという質問で腰痛があると答えた割合は25.2%でした。
本当に恐ろしいです。
職業別の腰痛率
職業別に腰痛を見てみましょう
みなさんのお仕事はいかがでしょうか?
ポイントとしては2つで
①看護師と運送業で腰痛率が30%以上
②デスクワーカーで欠勤率が11%
この2点でしょうか。
看護師などの医療職や介護職は高齢者の介護の時に、腰痛を発症しやすくなります。
リハビリの観点から言えば、移乗動作でうまく身体を使えばもう少し割合を減らせると思ってしまいます…
もっと理学療法士が社会に出ていかないといけないですね…
運送業の方も同様に、無理な姿勢で重いものを持っているような方が多い気がします。
生活動作に関して、今後何か発信していきたいと思います。
デスクワーカーの欠勤率はストレスですかね?
デスクワークだとリモートワークもできるので、欠勤という概念自体が少し他の職種と違っている可能性はあります。
それにしても11%は多い気がします。
別の視点ですが、デスクワーカーに関しては肩こりや首こりがかなり多いです。
肩こりに伴って頭痛や睡眠障害も多くなります、そういった部分から欠勤率が上がっている可能性はありますね。
腰痛の危険因子
過去1年間「全く腰痛がない」を2年間の追跡調査ができた836人に対する研究では
仕事に支障をきたすほどの新たな非特異的腰痛が発症したのは3.9%でした。
また、重要な危険因子を調べると、腰痛既往、持ち上げ動作が頻繁(1日の作業時間の半分以上)なことに加え、職場での対人関係のストレスが強いことが挙げられた。
何となく持ち上げ動作がまずいのはわかるけど、職場のストレスも影響するのは少し意外でした。
心理的ストレスも踏まえてリハビリアプローチしないといけませんね。
この研究では人間工学的要因と心理社会的要因に分けて、危険因子をリストアップしておりました。
以下に載せておきます。
人間工学的=身体の構造的や機能的
と捉えていただいて良いと思います。
- 持ち上げ
- 前屈み動作が頻繁
- 20kg 以上の重量物取扱い and/or 介護作業に従事
- 25kg 以上の持ち上げ動作(持ち上げ・前屈み・捻り動作が頻繁)
- 職場の人間関係のストレスが強い
- 週労働時間が 60 時間以上
- 仕事の低満足度
- 働きがいが低い
- 上司のサポート不足
- 人間関係のストレスが強い
- 家族が腰痛で支障をきたした既往
- 不安
- 抑うつ
- 身体化
ざっくり言えば
重いものを前傾姿勢で持つべからず
ってことですな。
心理面に関してはなかなか難しいところがありますが、
仕事にやりがいを見出しつつ
あまり抱え込まずに仕事をする
っといった感じですかね。
心理面に関してはまた以下の項目で少しお話ししていきますね。
危険因子をどう捉えるべきか
ではどのように危険因子が実際に、腰痛につながっていくのか紐解いていきましょう。
ポイントは人間工学的要因と心理社会的要因の2つに分けると分かりやすくなります。
→椎間板内での髄核や椎間関節のズレ・炎症といった脊椎組織の微小な変化を生む。本来とは異なる位置での身体の動きとなり、疼痛が生じる
②心理社会的ストレス
中脳辺縁系dopamine systemの機能低下といった脳機能の不具合、それに伴う自律神経系のアンバランスや下行性疼痛調整系の痛覚過敏を引き起こす。心理社会的ストレスをトリガーとして、疼痛を正しく捉えられず、過度に疼痛を感じてしまう。
すごくシンプルに言えば、
腰自体に不具合があるのか、
それとも脳機能に不具合があるのか
この2つを危険因子として捉えます。
なかなか難しいですね…
腰痛と言っても痛みを生じる経路が違うと捉えていただければ問題ありません。
恐怖回避思考(fear-avoidance beliefs:FAB)
FAB とは、痛みに対する不安や恐怖感、自分の腰や腰痛、その他の筋骨格系疼痛に対するネガティブなイメージから、過度に大事をとる意識や思考・行動のことになります。
具体的に言えば、腰痛を恐れて予防としても治療としても重要な運動習慣を回避してしまうということですね。認知の歪みと言ったりもします。
でもこれは当たり前だと思います。
誰だって
「痛いかも」
とか
「嫌だなぁ」
と思ったら体が縮こまってしまいますから。
こう言ったFABの方に対しては、リハビリはとても効果的です。
理学療法士としてのアドバイスとしてはただ一つ
小さい成功体験を積み重ねる
これだけです。
すごく軽い負荷、当たり前に感じる楽な姿勢から運動始めて、痛くない体験を積み重ねる。これの繰り返しでFABは改善していきます。
言葉で言えば簡単なんですけどねぇ…
腰痛への対応
それでは腰痛に対してどう対応すべきか、またすぐに出来る対策は何か、どんな選択肢があるのか考えていきます。
すぐに対策できることとして、大きく分けて3つあると考えてください。
①装具(コルセットなど)
②環境設定(職場や自宅)
③運動療法
①装具(コルセットなど)
①の装具に関しては1番簡単で、コルセットを購入すれば済みます。人間工学的に身体を正しい位置に固定してくれたり、体幹の筋力のサポートをしてくれます。
病院でもよく
「コルセットして、痛みが出ないように生活してください」
なんて言われることがあります。
もし使うとすればネットですぐに買えるお医者さんのがっちりコルセット が良いかなと思います。
コルセットに関しては
安いと5000円から高くて10万円以上とピンキリです。
市販の安いやつだと少しサポート力が少ないかなと個人的には思います。
高いやつだと完璧に自分にフィットしますが、10万円は高すぎると思ってしまいます。
お医者さんのがっちりコルセット であればおそらく1万円前後ですので、コスパという点ではまぁ許容範囲かなと思います。
どうしても腰痛がある中で動かなければいけない人は、コルセットが1番簡単かと思います。
②環境設定(職場や自宅)
環境設定としては、
腰痛の出る姿勢を避けることや働き方を変えるという点があります。
先ほど話したように、前屈みの姿勢で腰痛を生じさせやすくなりますので、まずは前屈みの姿勢を作らない必要があります。
軽いものでも、床に置かずに椅子の上に置いたりすると良いかもしれませんね。
上記にあった腰痛リスクの高い運送業の方であれば、荷物を運ぶときに台車を使ったり、大人数に運んだりすればその人の腰痛リスクは下がります。
また看護や介護職の方で有れば、人間工学的にどう移乗動作を行えば腰に負担がかかりにくいか、職場の理学療法士に相談してみても良いかもしれません。
最近の話題としては着る、筋肉。マッスルスーツEvery(エブリィ) なんかもアリかもしれません。
僕も一度試したことがあるのですが、ほんとに腰の負担なく動けるので、とにかくすごいです。
試しでいいから一度着てみてほしいです。
ほんとに楽になります。
これなら前かがみになっても大丈夫です(笑)
流石に高額過ぎるので、会社が買ってくれるのであれば、選択肢の一つになるかもしれませんね。
③運動療法
運動に関しては1番取り組みにくいかもしれませんね。
よく聞かれるのが、
なにをすれば良いか分からない。
ということです。
そもそも腰が痛いのに、運動しろって分からない
こんな声も聞かれます。
腰痛で考えるポイントはこれだけ。
腰をそったときに痛いのか。
腰を曲げたときに痛いのか。
これを考えてみてください。
腰をそったときに痛いので有れば(反り腰とも言います)、腰を曲げるように運動してください。ずっとあぐらをかいているだけでもいいです。とにかく腰が曲がるように生活してみて下さい。
腰を曲げたときに痛いので有れば、腰をそらせるように運動してください。仕事の合間に伸びをしたり、うつ伏せになってみてください。特にデスクワーカーでずっと座っている人に多くなります。背中が常に丸まってしまうため、背中を伸ばすように意識して生活してみてください。
もし
自分1人では無理だ
という方がいらっしゃったら、今話題のオンラインヨガなどを利用してみても良いかもしれません。
この記事の下の方にちょこっと書いてあるので、覗いてみてください。
まとめ
・腰痛の生涯有病率は8割を超えている
・看護師や運送業は腰痛リスクが30%以上
・腰痛の注意点は
①重いものを前傾姿勢で持たない
②仕事にやりがいを見出し、あまり抱え込まない
・腰痛の原因は、腰自体か脳機能の不具合
・運動恐怖感が強い場合は小さい成功体験を積み重ねる
・腰痛対策としては①装具②環境設定③運動療法がある
長くなってしまいましたが以上になります。
もし良ければイイねやフォローを頂けるとモチベーションになるので嬉しいです。
参考文献
1)Fujii T, Matsudaira K: Prevalence of low back pain and factors associated with chronic disabling back pain in Ja-
pan. Eur Spine J 22: 432―438, 2013.
2)Fujii T, Matsudaira K, Oka H: The association between
compensation and chronic disabling back pain. J Orthop
Sci 17: 694―698, 2012.
3)Yamada K, Matsudaira K, Takeshita K, et al: Prevalence
of low back pain as the primary pain site and factors asso- ciated with low health-related quality of life in a large Japa- nese population: a pain-associated cross-sectional epidemi- ological survey. Mod Rheumatol 24: 343―348, 2014.
4) Matsudaira K, Konishi H, Miyoshi K, et al: Potential Risk Factors for New-onset of Back Pain Disability in Japanese Workers: Findings from the Japan Epidemiological Re- search of Occupation-Related Back Pain (JOB) Study. Spine 37: 1324―1333, 2012.
急なこむらがえしを回避!ふくらはぎがつる原因とつった後にすぐ出来る対処法まとめ
いててて
どうしたの
足がつっちゃって
ちょっと手伝って
スポーツの場面で足をつってしまったり、夜に足をつってしまう人が多くいます。
通常は1分程度で症状が良くなりますが、かなり痛みますし、頻回に起こると困ってしまいますよね。
今回は「こむらがえし」についてお話ししていこうと思います。
こむらがえしとは
こむらがえしはふくらはぎがひきつる状態で、
医学的には「下腿三頭筋の有痛性筋攣縮」と言います。
下腿三頭筋=ふくらはぎ
有痛性筋攣縮=突然無意識に筋肉が働くこと
と考えていただいて良いかと思います。
もちろんふくらはぎ以外にもなる可能性はありますが、一般的にはふくらはぎに生じやすいと言われています。
こむらがえしの発生機序はまだ明らかになっておらず、「末梢神経性由来説」という神経が原因になっていると言われています。
こむらがえしの対策
こむらがえしの対策は
こむらがえしは
①激しい運動直後
②朝起きたとき
に生じやすいと言われています。
もし「こむらがえし」になってしまったら、落ち着いて足首を上に向ける(足関節背屈)ようにして、ふくらはぎをストレッチさせてあげましょう。
ちなみに、こむらがえしの場合は膝を伸ばした状態でストレッチをさせることがありますよね。
神経の走行の観点から膝を伸ばしながら、足首を上に向ける(足関節背屈)ストレッチが最も効果的とされています。
しかし、もしなってしまった時はそれどころではありませんよね。痛みが強い場合は、必ずしも膝を伸ばす必要はありません。
膝を伸ばしにくい状況であれば、座って楽な姿勢(あぐらなど)で少しずつ足首を上に向ける(足関節背屈)ストレッチを行いましょう。
厳密に言えば、
膝を伸ばした状態で足首を上に向けると腓腹筋
膝を曲げた状態で足首を上に向けるとヒラメ筋
がストレッチされます。
ちなみに
下腿三頭筋=腓腹筋+ヒラメ筋
となります。
また、過去に何度かこむらがえしを経験している方に関しては、
①準備運動
②水分摂取
を十分に行うように指導しています。
こむらがえし自体は神経の異変と捉えることができると、先ほどお話ししましたが
ほとんどの神経は血管とともに存在しています。
つまり、血流を良くしておくことは神経を活性化できるということなんです。
そのため
①準備運動で体を温めて、血流を良くする。
②水分摂取によって血液量を増やす。
ことが対策として挙げられます。
準備運動は散歩やストレッチ、マッサージなど軽い負荷のものでも十分効果があると言われています。
繰り返すこむらがえしの場合は、
下位運動ニューロン障害、代謝性疾患、急性細胞外液喪失、遺伝性症候群、薬剤の副作用などは病的な要因も考えられるため、気になる方は一度受診をすることをお勧めします。
受診先としてはなかなか選びにくい部分がありますが、
整形外科や神経内科、血液内科、神経血管治療科などが挙げられます。
少しでも皆さまの参考になっていれば嬉しいです。
まとめ
・こむらがえしの発生機序はまだ明らかになっていない
・こむらがえしは①激しい運動直後、②朝起きたときに生じやすい
・もし「こむらがえし」になってしまったら、ふくらはぎをストレッチする。
・過去に何度かこむらがえしを経験している方は①準備運動、②水分摂取を十分に行う
参考文献
定月亮(2015):総論,こむらがえり, MB Orthop.28(5)
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。
【 KWL表でインプット】学んだ効果を最大限にする方法を紹介
みなさん。
KWL表って知ってますか?
医療や病院関係で知っている方は少ないかもしれません。
簡単に言えば、学んだことを整理する方法になります。
医療関係者であれば勉強会や講習会にいく機会は非常に多いと思います。
しかし、終わった後、
「言ってることは分かるんだけど何となく身にならない」
そんな経験をしたことがあると思います。
正直言って、私もそうでした。
もし良ければ「KWL表」を用いて、自分の頭の中をどんどん整理していっちゃってください。ちなみにこのやり方は読書やニュース、新聞でも活用できますので、知っておいて損はないと思います。
- 「KWL表」の内容
- K:知っていること(What I know)
- W:知りたいこと(What I want to learn)
- L:知ったこと(What I learned)
- 「KWL表」の活用法
- まとめ
「KWL表」の内容
「KWL表」はアメリカの教育学者ドナ・オーグルさんが1986年に提案した教育メソッドです。
- K:知っていること(What I know)
- W:知りたいこと(What I want to learn)
- Ⅼ:知ったこと(What I learned)
つまり読み取ったり、受け取ったりした情報を
・知ってる
・知りたい
・知った
この3つに分けるというものです。
非常にシンプルかつ分かりやすいと思います。
通常であれば、最後の知ったことのみメモを取ってしまいがちですよね。
3つの内容を軽く説明します。
K:知っていること(What I know)
Kは自分の現在地を確認するために行います。
これから学習する範囲についてどこまで知っているのかのボーダーラインを引いておくということですね。
具体的に言えば、勉強会や講習会に行く前にお題が出された時に考えます。ここで自分の知識を確認することで、そもそも勉強会や講習会に出るべきなのか、という判断材料にもなります。
「腰痛 治療法」みたいなキーワードで勉強会に参加して、何度も同じようなことを聞いてしまったという経験があります…
時間は有限ですから、勉強会や講習会の参加に関してもしっかりと自分の有意義な時間にしたいところです。
W:知りたいこと(What I want to learn)
Wは目的意識をはっきりさせるために行います。
知りたいことを明確にすることで、内容自体が整理できます。やはり意欲的な学習姿勢は何よりも大事と言えます。
この項目に関しては、勉強会や講習会に行く直前から参加中に考えます。事前になんとなく知りたいな〜と思っていることをメモっておいて、話を聞いている中で知りたかったことを書き出していくという感じになります。
このやり方で知りたいことを整理しておけば、勉強会や講習会が終わった後に講師や先生に質問したり、上司や同僚とそれについてディスカッションすることに繋がります。
質問したり、ディスカッションすることはアウトプットになりますので、より質の高い勉強になりますね。
L:知ったこと(What I learned)
Lは新しい知見を言語化するために行います。
しっかりと言語化することが必要で、「分かったつもり」になってしまう可能性を下げる効果もあります。
これに関してはやっている方も多いのではないでしょうか?
勉強会や講習会が終わった後に、自分が新しく知ったことをメモするということですね。
学生の頃に知りたかったです…
「KWL表」の活用法
私のブログを元に「KWL表」を活用してみたいと思います。
今回元にした記事は、前回の筋トレの記事です。
○タイトル
【トレーニングの原理・原則】語呂合わせでサクッと覚える
○ K:知っていること
・筋トレはやればやるだけ効果が出る
・超回復理論で少し休むと良い
・マラソン選手とボディビルダーみたいに鍛え方が違うと筋肉の内容も変わる
○W:知りたいこと
・短時間でより効果的な筋トレの方法
・筋トレで何を重視するか
・休憩時間はどれくらい必要か
○L:知ったこと
・「買っとくか。全然良いハンコ」
過負荷、特異性、可逆性、全面性、漸進性、意識性、反復性、個別性
・①意欲的かどうか②主体的かどうかが大切
こんな感じでしょうか。
実際に使うときは携帯にメモを取ったり、パソコンでワードにタイピングしたりするのが良いと思います。
携帯のメモ機能を使うとこんな感じになります。
「KWL表」を活用してみて気づいたのが、
予習→復習の流れをスムーズにしている
という点です。
この体形に沿って学習を進めていけば、何を知っていて、何を知らないを確認できるし、次にどんなアクションを起こすかなども自然と理解できてきます。
また、インプットの質を高めるのはもちろんですが、言語化することでアウトプットにもつながり、質問やディスカッションを加えることでより知識をモノにすることができます。
まとめ
・「KWL表」でK(知っていること)、W(知りたいこと)、L(知ったこと)を整理できる。
・勉強会や講習会、読書、ニュース、新聞などにも応用できる
・質の高いインプットとアウトプットの準備に繋がる
もしよかったらフォローやイイネをいただけると、モチベーションになるのでうれしいです。