リハビリの木

リハビリを身近に、楽しく、シンプルに。

「痛いの痛いの飛んでいけ」は科学的に正しい2つの理由

 

◆この記事を読む人◆
痛みがある人
痛みについて調べている人

 

◆この記事で分かること◆
痛みの要素や理論

 

◆この記事を書いている人◆
都内総合病院で働く理学療法士。自身も野球で痛みを経験し、現在は痛みのある患者を多く担当する。

 

えーん(泣)
えーん(泣)

どうしたの?

転んで膝をぶつけちゃったの。

お兄さんが魔法をかけてあげるね。

痛いの痛いの飛んでけ〜

 

どーも 子供大好き「リハビリの木」です

今回は痛みについて少しお話し致します。

 

f:id:rehatree:20200830125250j:plain


 

 

 

 

 


1.「痛いの痛いの飛んでいけ」はおまじない?

 

上の会話のように「痛いの痛いの飛んでいけ」という言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

世間的には子供の気をそらすおまじないとして伝えられていますね。

 

僕も母親にやってもらった気がします。

 

しかし、意外にもこの魔法の言葉は

科学的に正しい

と言われています。

 

その理由を簡潔に示していきます。

 

2.痛みとは

 

国際疼痛学会によると、痛みとは

 

「実質的あるいは潜在的な組織損傷に起因するか、もしくは組織損傷から派生する不快な感覚的および情動的経験」

 

と定義しています。

 

 

先生。意味不明です!

そうですね。覚えなくていいです。

先生。意味不明です。

そうですね。覚えなくていいです。

 

簡単に言うと、

 

①体が傷ついた
②不快な感覚がある

 

この二つによって痛みが生じていると言えます。

 

つまり、怪我だけが痛みの原因ではないんです。

 

また、その二つの痛みの概念に対してそれぞれ対処法や理論があります

 

①体が傷ついた場合

に対して、人は無意識のうちにゲートコントロール理論を応用して疼痛軽減を試みます。

 

②不快な感覚がある場合

に関しては、どのような思考をするかどうかで痛みの程度が変わってきます。

 

 

ちょっと分かりにくい部分があったかもしれません。

 

このあたりを下記で簡単に説明していきますね。

 

3.ゲートコントロール理論

 

f:id:rehatree:20200830125436j:plain

 

転んで痛みが生じている場合は、

その部分をさすりますよね。

 

そう。その行為。

 

まさにゲートコントロール理論を用いて、痛みを取っています!

 

ゲートコントロール理論は、痛みの生じた際に、痛みの部位の周辺に表在感覚刺激を加えることで、表在感覚刺激が痛みを感じさせる経路を阻害し痛みを和らげる理論です。

 

 

何言ってるのかさっぱり分かりません!

もっとざっくりと話しますね

何言ってるのかさっぱり分かりません
もっとざっくりと話しますね

 

かなり簡単にに言えば


痛みのないところを刺激して、痛みのない感覚を増やしてあげると、実際の痛みが減る

ということです。

 

文字通り

 

痛みを感じるゲート(門)をコントロール(操作)して

 

痛みの感覚を減らそうっていう作戦なわけです。


4.心因性疼痛

 

痛みの要素の一つとして、「不快な感覚」

 

ということをお話ししたと思います。

 

「痛いの痛いの飛んでいけ」と言っているのはどなたでしょうか?

 

母親、父親、おじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、先生、友達などなど…

 

自分にとって親しい人や家族、大人だと思われます。

 

子供にとって、それらの人は安心できる存在であり、近くにいるだけで孤独を感じずに済みます。

 

また、体に少し触れてあげるだけで、心理的に安心することもあると思います。

 

その結果、「不快な感覚」を少し和らげることができます。

 

f:id:rehatree:20200830125505j:plain


5.まとめ

 

・痛みは簡単に言えば、①体の損傷②不快な感覚 である

・ゲートコントロール理論を用いると、痛みのないところを刺激して、痛みのない感覚を増やしてあげると、実際の痛みが減る

・孤独や不安を解消してあげるだけでも、痛みの軽減を図ることができる

 

参考文献
一色俊行(2000),痛みと心理. 理学療法学15(3)