リハビリの木

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疼痛とはなんなのか?痛みを心理的な面からアプローチする

◆この記事を読む人◆
痛みがある人
痛みの考え方を知りたい人

 

◆この記事で分かること◆
痛みと心理面の関係性

 

◆この記事を書いている人◆
都内総合病院で働く理学療法士。
手術後の痛みから慢性的な痛みを持つ患者まで、幅広く担当する。
 

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・痛みの定義

 

痛みって本当に嫌ですよね。
痛みは人間にとって防衛反応の一つであり、痛みを感じることで危険予知をしています。

 

国際疼痛学会は「痛み」を

 

実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験 

 

と定義しています。

 

つまり、痛みと心理面は切ってもきれないということです。

 

普段は理学療法士という仕事をしていますので、疼痛を身体面ばかり捉えがちになってしまいます。

 

そこであえて、心理面からの切り口を学ぶことで、臨床への応用につなげたいと考えております。

 

・痛みと心理面で大切なポイント

結論から先に述べます。
痛みと心理面で大切なポイントとしては以下の通りです。

 

痛みと心理面で大切なポイント
  • 年齢
  • 性格
  • 経験
  • 社会
  • 文化
  • 教育

 

年齢とか経験

って言われると何となく分かるけど、

社会とか教育

ってどういうこと?

 

こんな風に疑問に思われるかもしれません。


その辺りを簡単に説明していきたいと思います。

 

・子供と大人の痛みの感じ方

 

よく

子供は痛みを感じやすく、大人は痛みを感じにくい
と言われます。

 

半分正解で半分不正解です。

正確には、
子供は痛み刺激を正確に捉えられていない
と言えます。

 

皆さんは紙で手を切ったことはありませんか?

 

私は何回もあります。笑

 

それでは、

紙で手を切った時にいつ痛みを感じますか?

おそらく、血を見たときじゃないでしょうか?

 

そうなんです。

 

実際の痛みはそれほどでもないのに、視覚として痛みの情報が入った時に痛みを生じることがあるんです。

 

その痛みの情報を、

実際の感覚とすり合わせる作業

が子供には難しいんですね。

 

その痛みの感覚のズレが、痛みの感覚を増強してしまうことがあるんです。

 

人間って不思議ですね。

 


・文化や社会で痛みは変わる


みなさんは
海外を紹介する番組で

唇に穴を開けたり、

高いところから飛び降りたり、

体に刺青を入れたりする部族を見たことがありませんか?

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写真はイメージです(笑)

 

私は見るだけでぞっとしちゃいます。

 

私たちは、それらの文化的な行動に対して「痛いだろうなぁ」とか「泣いちゃうよなぁ」


という感想を抱きますよね。

 

でも彼らにとって、それは文化であり

大切な通過儀礼として受け入れています。

 

もちろん痛みがないとは言えませんが、痛みの捉え方は確実に私たち日本人とは異なると思われます。

 

これらの文化の違いが、痛みに関する考え方の違いを生み出していると言えます。

 


・医療従事者は痛みを知っている

 

突然ですが、注射って痛いですか?


私たちリハビリ職は注射を医療行為としてすることはありませんが、

医師や看護師、臨床検査技師の方々は、お仕事で注射をすることがありますね。

 

お話を聞く限りでは、学生時代に注射の練習を友達同士でしていたとか。

 

ちょっと怖いですよね…

 

しかし、注射を医療行為として行う方は注射がどういう目的で行われているかを知っています。

 

また、当然ですがその注射が、致命的な傷を作るとは考えていません。

 

その注射が自分の体にどのように作用するか予測することができますね。

 

当たり前ですが、それは学校や病院で教育を受けているからだと言えます。

 

その教育の違いによって
一般的な方と医療従事者では、注射の捉え方が違いが生じていると考えられます。

 

以上を踏まえて、痛みと心理面は非常に密接な関係があるということが言えます。

 

また、痛みに関して私たちが考えることは

 

「その痛みを正確に認識できているか」

です。

 

痛みを感じている時は、その痛みが本当にご自身の感覚と同じかすり合わせを行ってみてください。

 

とはいえ、
私だって痛いのは嫌ですし、
痛みで騒いでしまう気持ちはすごく分かります。

 

痛みを過度に増幅させないように心理面をコントロール出来たらいいなと思います。

 

・まとめ

痛みと心理面は密接な関係がある
痛みの感じ方は人それぞれである
痛みと心理面では、年齢・性格・経験・社会・文化・教育を考慮する
痛みを考える時に「その痛みを正確に認識できているか」を考慮する

 

参考文献
一色俊行(2000):痛みと心理,理学療法学15(3)